2020/05/29 17:53

27歳。秋、育休から週一で復帰した。


これまでの足跡はこちらから↓



結局育休中に独立出来る程の実力もなく。

育休中の間にその時の店の後輩スタッフがごっそり辞めていた。

なので菓子を焼ける人がいなくなり。

次男の保育所に空きがなかったので 

夫の休みの日に週一で菓子を焼き、ストックする形から復帰しました。


職場復帰したものの、新しく入っておられたスタッフが5名とオーナーシェフ。

はじめまして!の方ばかりで。

馴染みのある店なのに新鮮な空気が流れていた。

そして、やはり1年、お店を継続していたこともあって、

お客さんが店頭に来て下さる数が明らかに増えていた!

そう、市場へ販売に行かなくても

お客さんが、わざわざ店頭に来て下さる日が来たのです。

ほとんどのお店、スタッフはお客さんが来て下さる事が当たり前だと思っていませんか?

私はそれは当たり前ではないと思っています。

これだけお店が世の中にあって。

今は

ある程度のお金があれば技術は無くてもお店はできる。

その中でわざわざ選んで来て頂ける事。

本当に、本当に、有難い事。

私はこのパン屋でそれを学びました。

自分で足を使い、『買ってください!』と売り歩いた日々があるから。

店に、わざわざ、その人の人生の時間を使い、来て頂ける事。

そしてお金を頂きパンや菓子を買って頂く事、絶対に、当たり前ではない。



お店に足を運んでくれる事は復帰して涙が出るくらい嬉しい事でした。


けれど。

育休前と育休後では違う店の雰囲気がありました。

それは

あ、お客さん!

『いらっしゃいませ~!』と小さな声でスタッフ達。

。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。


誰も店頭に行 か な い !!


一回じゃないんです。毎回。


また、

あれ?○○さん(スタッフ)どこ行った??


。。。。。。


どこ行ったー?!!!!


帰ってた!


これも毎回!(笑)


復帰後、挨拶が無くなってたんです!(笑)


もちろん、それが気持ち悪くって、

自分から挨拶したら返事は返ってくるのですがめっちゃ浮くんです。

みんな無言。(笑)

お客さんにも無言。(笑)

なんだこれ?!!

あまりにも不思議すぎて

オーナーシェフに相談したんです。

『なんでみんな挨拶しないんですか?

なんで声掛けしないんですか?

なんでお客さん店頭で待ってるのに行かないんですか?

作業置いて出れますよね?なんで???』


ただ、ただ、不思議やったんです。

そこに、わざわざ買いに来て頂いているお客さんがいるんです。

お客さんは神様やとは思いません。

けれど、、なぜ、、、、、?


そしたらシェフのお答えが

「挨拶、、、声掛け??、、、そういや、してないなぁ。お客さん来てもみんな行かんから私(シェフ)が行ってるねん。」


私。絶句。(笑)

「いや、なんか色々違う気がするんですけれど。。お客さん来てくれるの当たり前じゃないですよ?声掛けしないとミスにつながりますよ?」


シェフ「ゆきちゃんはオープニングの時からおるからそう思うけれど今のスタッフは違うねん。」


。。。。。。。。そういう事ではないのだが。。。。。。




育休の復帰後。

1年で店の性格はガラリと変わっていた。

市場販売に出なくてもたくさんのお客さんが店頭に来て頂けていた。

そして、

それは【当たり前のこと。】と、なっていた。

そして、

そこに感情はなく。

接客も、作り手も。

作業でしかない店になっていた。

。。。。


それでも育休前から、

ずっと、来て頂いている常連さんもいてくれたり。

やっぱりこのお店に来て頂けるお客さんが私はとても好きだった。


だからこそ、

その、【当たり前となってしまった事】が、

とてもとても

ただ単純に悲しかった。



その時、誓ったんです。


これから自分がどの店で働いても。

これから自分で店をやる立場であっても。

お客さんがその店を選んで頂いたことは当たり前ではない。

だから、そのお客さんお一人、お一人のご縁を大切に。

私は感謝を持って仕事しよう。

絶対、当たり前すぎになってはならない。と。

画像1

(これは育休中にオーダー頂いていたタルト。世界に一つだけの心を込めて作ったタルトだったなぁ。。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


でもね。

シェフのお店だから、もちろんシェフが頑張るのは当たり前なのかもしれない。

けれど、だからこそ。

シェフのその当時の疲れ切った顔も見ていたのです。

だから、有難いこと自体が、

有難く思えない心も、わかるんです。

忙しかったら見失う有難さ。

シェフ、無くしちゃってるなぁ。。って。


だからこそ。

その当時は

この店に、シェフに、恩返したくなった。


結局、この店(お客さん)が私は好きだし

どんな形でも

右も左も知らずにいた私を雇っていただき、

そして育休をもらえた事はとても感謝しているから。

独立したいものの、この店の為に恩返ししたい。

そう、想って

復帰した後も約2年間、この店でお世話になる事になります。

(そして続けた事で、有難いご縁が広がっていきました)


ただ、この時。

お客さんがたくさん来て頂き、売り上げが上がっても。

場合によっては

【有難いと思えない状況になる病】も、あるんだ。という事を知りました。


たぶん、これは誰にでも、ふとした時に陥る病だと思う。

もちろん、

そんな病にはかからない!って人もいるだろう。

けれど、

これは、

自分の幸せの価値基準はどこか?を明確にして、

考動設計をしていかなくてはいけない。

そうでないと、

絶対に。

自分も、

その周りの人も、

お店も、

お客さんも

不幸にしてしまう。

自分の人生の幸せの価値基準はどこだろう?


そんな事を考え出したのも、この時期でした。




読んで頂きありがとう!

#焼き菓子屋そぼくな。