2020/05/10 11:30

これまでの足跡はこちらから↓

オープンしたてのパン屋で

なぜか体当たりの歩合制で販売員をし

なぜか朝5時からオーナーシェフよりも誰よりも早く出勤することになった私。

お店のある大阪中央卸売市場で勝手にパンの手売り販売が

オーナーの気まぐれで始まった訳ですが。(売るのは私^^;)

さて最初の市場での販売一日目。

画像1

(懐かしい写真、、。)

タルティーヌ

売れるかわからんのにすごい量を相変わらず焼かれ。(笑)

この写真のだいたい3倍の量を持っていき。(これほとに。笑)

これをとりあず売れ。と言う。

もう売れるかわからんのに恐怖しかなかった。(笑)

しかしコレを売らなければ私の未来はない。と本気で思っていた。^^;


そして、

いざ市場の中へ突入!

大阪中央卸売市場はとっても広くって。

魚売り場、

野菜売り場、

果物売り場、、

と3種類に大きく分けられる。

一つの売り場の面積はだいたい小学校一校分がすっぽり入るくらいの広さで。

とりあえずパン屋から一番近い魚屋売り場を歩いて売ってみる事にした。

魚屋売り場の中には何十店舗もの魚屋さんがおられる。

そこをひとつ、ひとつ歩いて回る。

市場の方からしたら、

『なんや変な姉ちゃんがやたらパンを持って市場にやって来た』と映るわけで。

かーなーり!怪しい存在に映るのです(笑)

市場のおっちゃん達は

『なんやあいつ?』の目で私を見る(笑)

ヤクザぽい方もそりゃいっぱいいるわけで。

でもそんな空気を読んでいては始まらない!!

売れないのである。

やるっきゃない!と奮い立たせ。

『おはようございまーーーーーーーーーーーーす!!!!!^^』

と、とりあえず笑顔だ!!!挨拶だ!!!!と

もう必死で(笑)売り歩き始めたのが最初の一歩。

『うるさい』『邪魔だ』と言われながらもとりあえず挨拶だ!と

続け、歩きまわり。。

そうすると

根っからの商売人さん達が集まる場所だから、

『お前どこから来たん?何売ってるん?』と

興味本位で話しかけてくれる人が一人、二人、と増えて行った。

そしたら魚屋のおっちゃんやおばちゃんの商売根性が働いたらしく、

『あの魚屋行ったら今の時間お腹すかしてるから売れるで。』と教えてくれたり。

売る時間帯やディスプレイのアドバイスをくれたり。

『こいつのパン買ったてー』と市場を一緒に回って宣伝してくれたり。。。。

いつの間にか、

売れるのかな?の不安は消え。

100個近くあったパンが売れるようになっていました。

売り切って店へ帰るとオーナーシェフはびっくりし。(笑)

そこで味を占めたパン屋のオーナーシェフは

毎朝売りに行く指示を出した。(シェフは決して動かない(笑))


毎朝、毎朝、5時に出勤し準備をし

毎日毎日朝7時にパンを市場内に売り歩きに行く。

その当時

店の売り上げを作るのは私の役目だった。

最初はその販売でしか店の売り上げがとれなかったから。

今考えたらおかしい話やなぁ。と思うけれど

ココで働けなかったら次に働く所はない!と必死そのもので。

毎朝毎朝5時に出勤し、

毎朝毎朝『おはようございます!』と市場にパンを売りに行く。

そうこうしている内に

市場のおっちゃん達からしたら

変な女 → 毎日あう人 → パンを毎日売る人 → ゆきちゃん

へと、

私への意識が有難いことに変わって行って。


毎日毎日行くと

朝7時に私を待つようになってくれている方が増えて行った。

大げさではなくその当時100人以上は待ってくれていたと思う。

みんな受け入れてくれていた。

本当に有難かった。



パンを売りに行っているのに、

さばいた魚のおいしい切れ端部分をくれたり。

買い付けにきていたお寿司屋さんが余ったシャリを

市場の魚屋さんに配っていて。

その時たまたまパンを売りに通りかかったら

そのシャリで新鮮なお魚乗せての寿司パーティが開催されていて(笑)

私もたくさん頂いたり。仕事中やけど、、(笑)



パン売りに行っているはずなのに逆に色々もらっちゃう。と変な現象が起こっていた^^;

もちろんパンも買ってもらっていて。


その頃は、1歳の長男シュウの夜泣きもひどく。

一睡もできずに出勤なんて毎日のようだった。(寂しかったんやと思う。この出来事があったからこそその後働き方を見直すきっかけになった。)

けれども、朝7時にはおっちゃんやおばちゃん達が待っている。

行かなきゃ!!と待ってくれていることが嬉しく。

いつも、いつも眠く辛い事や楽しい事があっても楽しく市場に向って行った。

それに比例して売上もどんどん、どんどんと上がっていき。

店の役にも、お客さんの役にもたっている実感はとても心地よかった。

毎日市場に足を運ぶに連れ市場の方と仲良くなってくるのは必然で。

『ところでゆきちゃんは何でこんな仕事してるの??』とそんな話をするようになっていた。


そこで働いている事、

自分が1歳の子供がいる事、

学費の借金をしていること

そこでお金がいることや

パンや菓子を作る夢を諦めきれないことを

市場に通う中で話すようになった。


市場のおばちゃんからは子育ての相談に乗ってもらったり。

市場のおっちゃんからは仕事や商売の価値観を聞いたり。

長男を出産してからは必死で。

友達も離れ、頼る両親も近くにいなかったので

人生の先輩方からのお話は、とてもとても有難く、感謝の日々だった。


ある時。


あんたやから買うんやで。

同じパンを売ってても他のヤツが売ってたら俺らは買わん。』と、

市場のおっちゃん達に言われたことがある。

これは自慢したいわけではなくって(ちょっと自慢もある(笑))

商売ってこういう事か。と感覚的に感じた出来事で。


何やろ、すぐに売れるモノって結局流行りを追うとかしかなくって。

普遍的な商売の形ではないと感じるんです。


売り手を信頼してくれるから買ってくれる。 んやなぁ。って。


とても地味やけれども、

毎日毎日、休むことなく同じ時間にやってくる事や

毎日毎日、笑顔で挨拶することや

売り手となる【人となり】を地道に語っていた事とか

相手の事を想う行動とか

そんな積み重ねを地味に地味に繰り返すからこそ信頼が貯まっていたんかな?

って今となっては思います。

売っていたパンはコミュニケーションでしかなくなっていた。

でも、そこには売り上げも発生していて

これ、たぶん商売の基本やと思う。

その当時は『いやいや~。売ってるものは一緒やったら買うやろー。』て思ってたんやけれど、このあと実際にスタッフが増えて私が売りに行かなくなった時、そう発言した人たちは買わなかったんですよね^^;

店の売り上げ下がるから良いのか悪いのか難しいところなんやけれど・・

もちろん変わらずに店にお金を落とすことが私の為になるって買ってくれる方もいてくれたんですけれどもね。


ただ、ただ、目の前の人に誠意を尽くしその時間を使う事。

その行為自体が

シンプルな商売のルールを体感させて頂いた。

そして私一人ではこの売り上げは獲得できなくて。

お客さんが応援してくれたから、

売り上げが成り立っていき。

売り上げが利益になり、

店が成り立ち。

そこでやっと、私のお給料が発生する。

そんなシンプルなルールを実際に感じ。有難く思った。

そんな日々でした。

(でもね、歩合制やったのに売り上げが上がった途端、急に時給になったという悔しい事実付でね(笑)いろんな人がいる事も学びました^^;)


この体験はだいぶ身体を張った。

そして

お金も全然入ってこなかった(今ならわかるけれど上に吸い取られてた。気ずかなかった私が悪いけどね。)

けれども

この体験はお金がないからこそ、

必死になって出来たもので。

お金を払ってもできない。

そんな

#宝物 の日々でした。

そして売り上げが順調にあがり安定し

やっと!やーっと!

『ゆきちゃん、店のお菓子お願いしていい??』

と,

シェフの信頼も勝ち取り(たぶん)

その当時の菓子の責任者が去ったこともあるけれど。

要は運がようやく回ってきただけ(^^;)


店に入って半年でお店のお菓子を任させて貰うことになります。

そのepisodeもゴリゴリといろんな体験や

気づきがあったのでまた次回に^^


読んでくれてありがとう!

焼き菓子屋 そぼくな。

ゆ季